「何の商売をするか決まっていませんが法人だけ作ろうと考えています。税金のこととか教えてもらえませんか?」と、前に勤めていた会社の後輩から相談されました。
「なぜ法人を作りたいのか?」と質問すると「ある人から『サリラーマンでも法人を設立すれば、節税になるからとりあえず箱だけ作っておけば、何でも経費で落とせる』と言われたからです。」と答えてくれました。
「何の商売をするの?」と聞いたところ「何もないんです」という回答が返ってきました。何の商売をするのかも決まってないなら、売るものがありません。売るものがないと言うことは売り上げ自体がありません。それなのに、いきなり法人を作るのは無理がありすぎます。
これ「脱税」になる可能性があるため、絶対にやってはいけません。一体誰がこんなアホなことを吹き込んだのかとビックリしました。
元々すごく頭が良くて仕事ができる優秀な後輩ですが、多くのサラリーマンと同じで税金のことをまったく知りません。もちろん、個人事業主や法人がどのようにして売上をあげ、経費を計上し、控除を申請して、確定申告しているのかも知りません。
私が個人事業主として活動していることを思い出し、相談に来たのですが、事前に相談してくれて良かったです。
結局、法人を設立することはせず、まずは副業として個人事業主から始めることを勧めました。「何かやりたことないの?」と聞いたところ「何もないんです」と言うので、個人事業主がどんなことをやっているのかを自分で色々と調べることを提案しました。
個人事業主になる前に考えるポイントですが、
- 個人事業主やフリーランスがどんな商売をしているのかを調べる
- 何に需要があるのかを考える
- 需要があることに向けて、自分のできることで何かを売ってみる
- 副業での収入が20万円を超えたら、税務署に開業届を出す
何に需要がありそうなのかを調査し、その需要の中で自分ができることで何かを売ってみるように言いました。本当にそれが商売になるのかを確認するためです。
もし、やっていることに需要があれば、何らかの収入が入ってきます。その収入が20万円を超えたら、本格的に副業を始めるために税務署に開業届を出し、確定申告すればいいのです。
副業での収入が1,000万円を超えてから法人化すればいいだけの話で、いきなり法人を設立する必要はどこにもありません。
「簡単に考えていましたが、そんなに簡単な話でもないんですね。とても勉強になりました。自分でももっと調べてみます。」と、言ってくれました。根が素直なので、教え甲斐があります。
「税金が安くなる」という甘い言葉に騙されて、サラリーマンしかやったことがない人が法人だけ作っても、税務調査に入られたらアウトです。もちろん帳簿の付け方も知らないので、「脱税」だと疑われても文句も言えません。その上、法人を設立することを勧めた人は、責任など取ってはくれません。
サラリーマンだけど、今後のことを考えて副業から始めてみたい人は、いつでも相談してください。税金の話や控除の話など、色々と知っている私が相談に乗りますよ。